三鷹市の女子高校生殺人事件に関連して,「忘れられる権利」という今までになかった権利の存在がクローズアップされています。
この忘れられる権利とは,インターネット上に頒布されている個人情報をコントロールするための権利であり,すでにEUなどでは一般データ保護規則案という形で,忘れられる権利の保護に向けた取り組みが始まっています。
このような権利が主張され始めた背景には,インターネット上での個人情報の開示,残存によるリスクがあります。
インターネット上に一度流れた情報は,データ元を削除したとしても何らかの形でインターネット上に残る危険性があります。
そのため,本人であれ,本人以外の第三者であれ,一度インターネット上に出してしまった情報は消すことは非常に困難です。
私も以前にインターネット上の掲示板に掲載された情報をどのように消すかという相談を受けたことがあります。
この場合,そのインターネットの掲示板の種類にもよりますが,掲示板によっては裁判所の判決,決定が必要である場合もあり,非常に手間がかかるという難点があります。
また,インターネット上に掲載された情報が,報道機関等の記事であった場合,国家機関がその削除を認めるというのは検閲に該当しないかという議論もあります。
わが国でも,この忘れられる権利に対する一般的な認知度が向上した場合,忘れられる権利の保護をうたう明文上の根拠が生まれるのか,今後の動向に期待したいものです。
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